他のメンバー : タック 川﨑 レスリー 吉野 邦彦 京藤 敏達 江前 敏晴 山下 祐司 小川 和義 中谷 清治 張 振亜 内海 真生 野村 暢彦 楊 英男
キーワード:界面、コロイド、水環境、凝集、ソフト界面、動電現象
http://www.eng.bres.tsukuba.ac.jp/colloid/research-unit/
水と油のように異なる相が隣りあって存在する領域を 「界面」と呼びます。界面は液体同士に限らず、気体と液体、液体と固体、固体と固体の間にも存在します。一方の相にもう一方の相が1μm*1以下の大き さ*2で存在する状態が「コロイド」です。分散するか、沈殿(凝集)するか。水の浄化の基本となるこの過程は、いろいろな工業プロセスや自然界で見出すこ とができ、利用されています。「生物資源コロイド工学」ユニットでは、界面をキーワードにつながる異分野の研究者が集結し、新しい研究分野、環境界面・生 体界面の創出に取り組んでいます。
煙も牛乳もせんべいも、細胞だってコロイド!
コロイドは自然界のどこにでも存在していて、煙、牛乳、せんべい、そして、細胞や菌もコロイドと言えます(表1)。人類が微生物を利用し開発した伝統技 術、発酵を例にとるとわかりやすいと思いますが、細胞や菌を産業利用するときには、必ず界面化学の知識を使っています。つまり、物質を選択して集めるため に、特殊な界面の相互作用を活用しているのです。ここには200年以上も昔に発見された界面動電現象*3が深く関係しています。界面動電現象は、マイクロ 流体デバイスの開発など、今後大きく発展する最先端の分離技術の基本でもあります。
分野融合するために、異分野に共通する基礎基盤をつくる
生物は個性があり、遺伝子も生物種ごと異なるのですが、生物の外側、つまり、環境には共通の物理化学の世界が拡がります。細胞の境界(細胞膜)は、生体界 面と呼ばれるべきもので、巧みに構造化された界面から種々の情報が生み出されています。まだ想像の域を出ませんが、生物はかなり上手に界面現象を使って環 境情報を生物情報にしているのでは、とにらんでいます。このように、界面は反応の場としてだけでなく、生命の基本原理を考えるうえでも、非常に重要なキー ワードなのです。メンバーの研究対象は、土壌、菌、食品コロイド、高分子ミセルと、さまざまですが、みんなコロイドと界面で繋がっています(図1)。萌芽 期にある環境界面・生体界面の研究を発展させるべく集結したメンバーにより、プラットホームとなる基礎基盤が少しずつつくられているところです。
社会への貢献・実績
●ELKIN 2012(第10回界面動電現象に関する国際シンポジウム)の開催(図2)
●サマースクールPost ELKIN 2012 「水環境、微生物のSoft Electrokinetics」の開催
● 土壌・水環境のコロイド界面現象に関する国際ワークショップ