代表者 : 釜江 陽一
国際テニュアトラック教員としてUC San Diego, Scripps Inst. of Oceanographyに派遣中の釜江 陽一助教の論文がNature Communicationsに掲載されました。
研究の概要
著者らは本論文で、気候モデルを用いた数値実験の結果と実際の観測データを照合することで、近年の熱帯における特異的な水温分布の影響の調査を試み、アジアモンスーンの近年の変動が、熱帯西部太平洋からインド洋にかけての海水温によって説明されることを明らかにしました。
著者らは、海面水温分布を仮定した大気大循環モデルによる再現実験を実施することで、中国華北部から日本付近にかけて東西約4,000kmに渡る地域で降水量が少なく、熱帯西部太平洋上と西インド洋上で多い、という近年の夏季降水量の傾向を再現することに成功しました。
さらに、海面水温を海域ごとに分けて設定した理想化実験を実施し、実際の観測データと照合することで、東アジア域の少ない降水量は、熱帯太平洋の海水温分布(中部・東部で低く、西部で高い)にあること、さらに、従来知られていたよりも広い範囲で、熱帯の海洋が遠く離れた中緯度の気候に影響していることを明らかにしました。
論文へのリンク
Combined effects of recent Pacific cooling and Indian Ocean warming on the Asian monsoon.
この論文についてのニュース記事
東アジア域における降雨の減少は熱帯域の海水温の影響 ~暖かいインド洋と冷たい太平 洋の複合的効果~(2015年11月13日)