ハロー先端科学(大学新聞)

打音検査の結果を可視化 コンクリート点検を効率化

システム情報系 山口 友之 助教

 建物をはじめ、橋やトンネルなどあらゆる構造物で使われるコンクリート。その劣化の検査は安全対策上、欠かせないが、従来の打音検査には音を聞き分ける熟練の技が必要だった。そこで山口友之助教(シス情系)は、打音をコンピュータに解析させたうえ、映像を投影するプロジェクションマッピングの技術も応用し、検査を容易にする研究を行っている。
 コンクリートをハンマーで叩く打音検査は、その音で内部のはく離や空洞を発見する。だが、音の聞き分け技術の難しさに加え、広大な場所では、叩き忘れなどから、劣化を見落とす危険性もあった。そこで山口助教が開発したのが以下の方法だ。
 まず、従来の基準に従い、ハンマーでコンクリートの表面を叩く。そしてカメラで叩いた位置を計測すると同時に、その打音をマイクで拾い、パソコンで周波数を分析。内部の異常を調べる。更にプロジェクションマッピングの技術を使い、叩いた部分が異常ならば赤、正常ならば緑の円を投影していく。
 この技術が完成すると、叩く場所さえ間違えなければ、後はコンピュータで正確に分析できる。また、検査場所がコンクリートに投影されるため、打ち忘れや、二度叩きなどのミスも防ぐ。その結果、時間短縮にもつながり、より多くの場所を検査できる。
 だが、課題も残る。コンクリートはセメントや砂などを混ぜて作るが、その割合が異なることがある。その場合、劣化を示す音の周波数も変化し、判断が難しくなるという。現在、山口助教は音のデータを集積、人工知能を使って解析精度の向上を目指している。

 コンクリートの寿命は60年と言われ、1950年代〜70年代の高度経済成長期の構造物の多くがその寿命を迎え、検査の必要性は高まり続けている。この技術の実用化で、将来、構造物の安全性がより強固になるに違いない。