ハロー先端科学(大学新聞)

詳細な天気予報へ新技術 都市部の気象予測も正確に

計算科学研究センター 日下 博幸 教授

 私たちがテレビやウェブなどで見る天気予報は、地球の大気を20㌔四方の「格子」に分けたうえで、数値予報モデル(*注1) を使い、格子ごとに作られている。だが、今よりも狭い格子を扱うモデルができたら、今以上に詳しい予報が可能になる。日下博幸教授(計算科学研究センター)の研究室では、都市部の大気を100㍍四方の格子に分割して予測する数値予
報モデルの開発を行っている。

 この研究は、ウェブなどで気象予報を配信する気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市美浜区)との共同研究。日下教授によると都市部ではビルの密集や街路樹の林立などで、熱の放射が複雑になり気温予測が難しい。また、ビル風が吹くなど、都市特有の気象も発生するため、モデル作成が困難だった。従来のモデルでは、都市部をコンクリートの平板と仮定し、建物などの影響は考えておらず、都市の気温予測の精度は低かった。このような問題点を克服するため、日下教授らは、建物の影響などを考慮する方程式を作成することで、都市部でのより詳細で高精度な気象予測を可能にした。また、このモデルの精度を検証するため、ドローンを使いビル街などで気温や風向などの観測をしてきたが、ドローンで収集したデータは、あらかじめ予測したモデルと一致しており、あとは実用化を目指すだけだという。
 日下教授によると、これまで気象観測には人工衛星などを用いていたが、最近では安価なドローンで代用できるようになり、「多くの場所で観測しやすくもなり、細かなデータ収集が可能になった」という。
 日下教授によると将来、開発した数値モデルを使うことで道路上の日陰や木陰などの正確な温度の予測も可能で、これらは熱中症対策などに活かすことができるともいう。このほかモデルを用いて、ヒートアイランドやビル風なども予測できるので、新しい都市計画の参考とすることも可能だ。 現代の予報は、スーパーコンピューターを使った計算をもとに作成されるが、気象予測の歴史はコンピューターの発展の歴史である、ともいわれている。今後の気象予測技術の発展が私たちの生活をより便利なものにしてくれるだろう。
 *注1 数値予報モデル=物理学の方程式により、風や気温などの時間変化をコンピューターで計算し、気象予測するプログラム。気象庁の天気予報の根幹となっており、現在用いられている中で最も細かな格子は気象庁が運用する2㌔四方のモデル。