リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

シグナル伝達の異常に起因した疾患 を治療する創薬開発に向けた研究
シグナル伝達と疾患リサーチユニット

鈴木 裕之

キーワード: シグナル伝達、がん、アレルギー、神経疾患、腫瘍血管新生

49kanaho01  私たちの体は組織ごとに様々な種類の細胞からなり、ホルモン・成長因子・神経伝達物質などが細胞膜にある受容体に結合すると、細胞内にあるタンパク質や酵素が活性化されます。それにより細胞内で情報(シグナル)が連鎖的に伝達され、最終的に細胞機能が発現します。この細胞内で連鎖的に情報が伝達される仕組みを「シグナル伝達」と呼びます。シグナル伝達に異常が生じると、生体に病的状態が引き起こされます。最近では、環境因子で誘発される疾患にもシグナル伝達が関係していると言われています。本リサーチ・ユニットでは、異なる研究分野の研究者の有機的な連携により、シグナル伝達と病気との関わり合いを分子レベルから個体レベルで研究し、シグナル伝達に関わる分子を標的とした創薬につながる研究に挑んでいます。

 

細胞内シグナル伝達のメカニズム解明による病気の探索

図1:研究の概観

図1:研究の概観

 私たちの体内の組織や臓器は、それらに特有の細胞によって作られています。それらの細胞がホルモン・成長因子・神経伝達物質などの情報を受け取って、シグナル伝達が稼働して細胞機能が発揮されることにより組織や臓器が正常に機能します。その結果として私たちは正常な生活を営むことができます。(図1)しかし、細胞のシグナル伝達に異常をきたすと、様々な病気になります。この異常は、シグナル伝達を行うタンパク質や酵素の性質の変化によって起こります。シグナル伝達の異常によって起こる病気には、がんやアレルギー、神経疾患などがあります。シグナル伝達がどのようなメカニズムで作動しているのかを解明して、それらの異常がどのような病気に関連しているのかを分子レベル、細胞レベル、および個体レベルで解明することが求められています。

 

 

 

 

 

 

シグナル伝達の解明から新しい薬の開発を

 

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図2:アレルギーを起こすシグナル伝達異常の例

シグナル伝達のメカニズムを解明して、どのようなシグナル伝達の異常が病気を引き起こすのかを明らかにすることにより、病気の治療薬を開発することが可能となります。私たちの研究グループは、これまでに原因がわからなかった病気や治療が非常に困難な病気の原因解明を目指して、画期的な薬の創成に貢献するために研究を続けています。これまでに病気に関連したシグナル伝達系として、花粉症のようなアレルギーを引き起こすシグナル伝達を抑制する新たなシグナル伝達を発見しました(図2)。このシグナル伝達を活発に稼動する薬を見出せると、アレルギーを確実に直すことができると期待しています。このほか、シグナル伝達は、がんや神経疾患などの多くの病気に関連していることを明らかにしています。

 

 

 

社会への貢献・実績

● 画期的な薬を見出すための大手製薬企業との共同研究
● 画期的な薬を作るための基礎的研究成果の社会への発信(報道発表)
● 国内外の学会での研究成果発表
● 次代を担う若手研究者の育成