リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

生命の源「海」を見つめ、 「ヒト」をより深く理解する
海洋生物学リサーチユニット

シルバン アゴスティーニ 久冨 理 三田 薫 吉田 慶太 笹倉 暁子 堀 三計 指田 勝男 武政 徹 大森 裕子 北 将樹 上松 佐知子 下村 脩

キーワード:海洋生物学、環境、生態、多様性、進化

http://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/

 

41inaba01 地球上の生命は約40 億年前に原始の海で誕生したと考えられています。それ以降、海はたえず生命の源として、また、生物の多様性を育む母体として機能してきました。「海洋生物学」リサーチユニットでは、海洋生物や海洋環境に関する基礎研究・学際研究をつうじ、ライフサイエンス、医学、水産学、環境科学など、生命が関わる多岐の学問についての知的基盤構築を目指しています。

「海」というひとつの巨大な生態系をまるごと理解する

 ヒトと海洋生物では全く異なる外見をもちますが、そのルーツをたどると約40 億年前に原始の海に誕生した生命に行きつきます。また、ヒトの体のイオン成分も海水に近いです。これは生命が海から生まれヒトへと進化してきた証です。たとえば、細胞分裂や受精など基本的な生命現象が初めて観察されたのはどちらも海の生物で、それらの知識がライフサイエンスの基盤となっています。一方で、海は物質循環や環境とも関係しています。たとえば、生活排水や海水酸性化などは海の生態系と切り離せない関係にあります。過去に海や海の生態系についての知識がないまま護岸工事などの開発を進めてしまった結果生じた環境破壊や環境汚染が問題になっていますが、これらの根本解決にもやはり海や海の生態系についての知識が必要になります(図1)。

図1:下田臨海実験センターで研究している海の生き物(一部)

図1:下田臨海実験センターで研究している海の生き物(一部)

 

 

 

 

 

 

下田臨海実験センターのフィールドを最大限に活用する

 研究の対象は海の生物やそれらの生息環境が中心となりますが、下田臨海実験センターを利用している他の研究者との共同研究も進めています。具体的には①海洋生物のゲノム科学、ポストゲノム科学の推進、②海産生物の多様性を利用した細胞の構造・機能の解析、多様化機構の解明、③海産生物の発生過程、メカニズムの解明と生物系統発生、進化の考察、④免疫系、神経系、生殖系などの構築と成立メカニズムに関する研究、⑤海洋生物の個体間相互作用、個体群の形成、個体群相互作用と生態系の成立に関する研究、⑥海洋無機物・有機物の海洋生物生態に与える影響に関する研究、⑦地球環境変動と海洋環境に関する研究、⑧下田周辺の海洋フィールドに棲息する生物種の記述、⑨各種海洋生物の飼育繁殖に関する基礎研究、などを行っています。このユニットが本拠地にしている下田臨海実験センターのフィールドを最大限に活用した研究を実践することにより、ライフサイエンス、医学、水産学、環境科学など、多岐の学問の基盤となる研究、化学、物理、工学といった異分野との融合研究を目指しています(図2)。

図2:研究調査船「つくばⅡ」と下田臨海実験センター

図2:研究調査船「つくばⅡ」と下田臨海実験センター

 

社会への貢献・実績

● 市民講座、公開講座、一般公開、自然観察会、民間企業委託実験(付着生物検定)
● JAMBIO フォーラム・国際シンポジウムの開催、国際マリンステーション機構運営