リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

技術革新を支えるアルゴリズムと ソフトウェアを開発
先端数値解析ソフトウェアリサーチユニット

代表者:櫻井 鉄也    
他のメンバー:多田野 寛人  ARANHA CLAUS DE CASTRO  今倉 暁  

二村 保徳 保國 恵一 Xiucai Ye 高橋 大介 山本 有作 張 紹良 深谷 猛 Lei Du

キーワード:数値アルゴリズム、高性能ソフトウェア、大規模シミュレーション、データ解析

http://na.cs.tsukuba.ac.jp/asna/

 

31sakurai01 今の時代、実世界での現象をコンピュータ(計算機)上で再現し、解析・予測を行うという手法はあらゆる分野で使われています。テレビなどで、コンピュータ・シミュレーションの結果としてのCG映像を目にする機会も多くありますが、これらはすべて“数値の計算”をすることによって求められています。櫻井先生のリサーチユニットでは、次世代の計算機を使いこなし、効率よく数値計算を行うための研究開発を進めています。

 

自然科学・産業応用、様々な分野に広がる数学的アプローチ

図1:リサーチユニットで取り組む研究テーマとその広がり

図1:リサーチユニットで取り組む研究テーマとその広がり

 同じ問題を解く場合でも、計算のやり方にはいろいろな方法があります。どのように計算するか、という手順の部分を「アルゴリズム」と呼びます。私たちのリサーチユニットでは、特に線形方程式や固有値問題を解く際の高性能なアルゴリズムを研究しています。
 固有値問題を解くとは、多変数からなる関数を変化させたときに、変化を特徴付けるベクトル(方向)とその変化量を調べることを指します。難しいようですが、例えば自動車の振動を小さくするためには部品をどのような形にすればよいか、という問題も固有値計算によって解析することができます。他にも、線形方程式や固有値計算は、船舶や航空機の設計、ビルの免震、創薬、半導体開発、遺伝子解析や画像解析、宇宙や素粒子といった自然科学分野の研究など、幅広い分野で使われています。私たちのリサーチユニットでも、こうした幅広い分野と共同研究を進めています(図1)。

 

 

 

 

 

 

 

 

次世代の高性能計算機を使いこなすために

 計算機の性能・計算速度は日々進歩しています。性能の良い計算機を使えば、もっと早く、もっとたくさんの固有値を計算できるはずです。ところが、現在広く用いられている数値計算アルゴリズムでは、最近の高性能計算機*1の性能を十分に引き出すことが難しくなってきています。最新の大規模並列型計算機の性能を活かすには、計算機の構造にあった新たなアルゴリズムの開発と、計算機上でアルゴリズムを動かすためのプログラム・ソフトウェアといった実装技術が必要です。私たちのリサーチユニットでは、次世代の高性能計算機の構造をよく理解した高性能計算の専門家と、アルゴリズムの専門家が一緒に研究を進めることで、次世代の超並列型計算機を使いこなすアルゴリズムとその高性能並列計算ソフトウェアの開発を進めています(図2)。
 また、先にも上げたような応用分野の研究者に対してユニットの成果であるソフトウェアを提供し、実際に使ってもらうことで、性能の改善や実用性の向上を目指して研究をしています。

*1: 現在の高性能計算機は、たくさんの計算機をネットワークでつないだ並列型が主流。各計算機が同時並行で進められる計算過程が多いと計算速度が早くなる、という特徴がある。

図2:リサーチユニットの研究の位置づけ

図2:リサーチユニットの研究の位置づけ

 

 

社会への貢献・実績

● 大規模固有値計算に関する国際会議(EPASA2014, EPASA2015)開催
●「 京」コンピュータ向けソフトフェア「z-Pares」、SLEPc向け「CISS」を開発
● 研究成果をもとにMathDesign 社を起業