リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

豊富な元素を利用したフォトニクス、 スピントロニクスデバイス開発 −持続可能なエレクトロニクス−
薄膜太陽電池リサーチユニット

代表者:末益 崇    
他のメンバー:秋本 克洋  丸本 一弘  櫻井 岳暁  

渡辺 健太郎 関口 隆史 今井 庸二

キーワード: 太陽電池、薄膜、豊富な元素、省資源、省エネルギー、バリウムシリサイド

http://www.bk.tsukuba.ac.jp/~ecology/index.html

 

26suemasu01 このユニットの母体となる研究室は、技術をステップアップしつつ、つねに新しい対象にチャレンジしてきています。「分子線エピタキシー(MBE)による金属/ 絶縁体積層構造の結晶成長と共鳴トンネルトランジスタの研究」から「MBE による半導体鉄シリサイド(β-FeSi2)の結晶成長と赤外発光デバイス」へ。次には「シリコンベース半導体レーザ」へ。また「半導体シリサイドBaSi2 をベースとする高効率薄膜太陽電池に関する結晶成長とデバイス化」にテーマが変遷しています。いずれも、私たちの周囲に大量にあり、かつ安全な元素で高機能デバイスを作り上げようとするポリシーが感じ取れます。

 

バリウムシリサイド系高効率薄膜太陽電池の研究開発

図1:Si 基板上へのBaSi2 成長の原理と反射高速電子線回折(RHEED)    による面内結晶性評価

図1:Si 基板上へのBaSi2 成長の原理と反射高速電子線回折(RHEED)による面内結晶性評価

 本リサーチユニットでは、化学的に安定、かつ薄膜にすることでの原料の少量化が可能であり、また光劣化のない高効率薄膜太陽電池の研究を進めています。一例として、図1 のようにBaSi2結晶薄膜のpn 接合による太陽電池の研究開発も進めています。n 型BaSi2 結晶薄膜をSi (111)基板上にMBE で形成し、レーザードーピング法によりB(ホウ素)を注入することでp 型に変換してpn 接合をつくるものです。(Jpn. J. Appl. Phys., 2004)さらに、自然酸化膜を介してBaSi2 結晶薄膜上にMo 酸化膜、ITO(酸化インジウムスズ)透明電極層を形成して太陽電池性能を評価しました。(図2、Appl. Phys.Lett., 2015)非常に明瞭なショットキー特性を示すとともに、可視光全域(波長:約400 – 800 nm)で、逆方向バイアス印加時にバイアスのない状態に較べて30 倍程度外部量子効率が高くなることが分かりました。将来は、単結晶シリコン太陽電池と同程度以上の変換効率を目指しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

研究は国内外の連携で!

図2:BaSi2 膜を使った太陽電池の例

図2:BaSi2 膜を使った太陽電池の例

 本リサーチユニットは多くが筑波大学の研究者で構成されています。しかし、研究を加速して、より高度な成果を得るためには国内外の連携が重要と考えています。物質・材料研究機構とはカソードルミネッセンス(CL)による材料評価、シュトゥットガルト大学とはレーザードーピング法について共同研究を進めています。また、つくばイノベーションアリーナ(TIA-nano)のナノエレクトロニクス研究コアを通じて産業技術総合研究所とも連携しています。さらには、名古屋大学との連携、放射光施設(SPring-8)の利用の他に実用化を目指して企業との共同研究も行っています。

 

 

 

 

社会への貢献・実績

● 書籍による成果普及:「シリサイド系半導体の科学と技術: 資源・環境時代の新しい半導
体と関連物質」(裳華房、2014、前田 佳均 編集)で反応性エピタキシャル成長、Ba シ
リサイド、シリサイド発光素子/ 太陽電池に関する紹介
● 産業技術総合研究所(AIST)や物質・材料研究機構(NIMS)などで活躍する太陽電池
研究者との連携強化とつくば連携による研究推進
● 幅広い視野を持った次世代リーダーとなる若手研究者の育成
● 筑波大学公開講座「日本の技術と北アフリカの太陽光と砂で世界の電力問題に挑む」
  −太陽電池を薄く作る試み− 2014 年10 月3 日、筑波大学