ハロー先端科学(大学新聞)

視線の動き捉える眼鏡交通事故の減少目指す(2016.01)

自動車が絡む死亡事故が後を絶たない。自動車の長時間運転による体調の変化や、小道から出てきた歩行者に注意不足で気付かないことが主な原因だという。その解決策の一つとされるのが、星野聖きよし教授(シス情系)らが開発した超軽量・小型のメガネ型眼球運動計測装置だ。運転手の視線を計測し、事故が多発するなどの危険な場所への注意が散まんしていたりすると連動させたカーナビが音声で警告。交通事故の減少につながると期待されている。

 装置のレンズ下部に一円玉の5分の1程度の大きさのカメラがあり、つるには無線通信機器が付いている。カメラが視線の動きをとらえ、カーナビから得た情報を基に注意すべき方向を見るよう促す。例えば、子どもが飛び出してきそうな小道や過去に事故が起きた交差点など危険な場所に近付いた際、視線がその地点と明らかに違うところを見ているとカーナビが「左の小道に注意」と音声で警告する。
 眼球運動を計測する装置は以前からあったが、星野教授が開発したものは構造が大きく異なる。従来は、角膜に反射した光や瞳孔の動きを細かく計測。カメラを頭部に強く固定したり、計測部に光が入ることを防ぐために頭部を頑丈に囲ったゴーグル型の装置が必要で、正確に計測するには被計測者の負担が大きかった。
 そこで星野教授らは、白目にある毛細血管に着目。カメラが血管と黒目の端との接続点の動きを追跡し、黒目の中心に対して何度傾いたか計測する。血管は白目の部分に黒くはっきりと映るので、周囲の明るさの影響を受けにくい。計測部が被計測者のまぶたの形状やまばたきなどに隠れにくい。このため、簡易なメガネ型の装置で楽に眼球運動を計測できる。
 装置の技術は、交通事故の防止のほかにもさまざまな場面での応用が期待されている。例えば医療の現場では、めまいの診察の際、あごを台に乗せ頭部を固定していたため、嫌がる子どもが多く診察が難しかった。だが、星野教授の装置を使えばメガネをかけるだけで簡単に行える。また、デパートの客に装置をつけてもらうことで、視線の動きを計測し、客が買い物をした場所や、長い間見ていた商品などを調査することもできるという。
 星野教授は「道路の整備や信号の設置には膨大な時間やお金がかかるため、効率的に事故を防止できる技術があればと思い開発を始めた。装置の実用化が進み、全国のタクシーやバス会社で利用されればうれしい」と話している。現在実用化に向けて具体的な話が進んでおり、メガネ型眼球運動計測装置が生活に浸透する日はそう遠くなさそうだ。(大西美雨=社会学類2年)