リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

破壊と創造にまつわる人類の長期的な歴史的記憶の伝承を実践する
人類史上の秩序における記憶と知識リサーチユニット

代表者:武井 基晃    中核研究者:上田 裕之  谷口 陽子  
他のメンバー:津田 博司  柴田 大輔  中野 泰  山澤 学  山本 真  
キーワード: 秩序、災厄、記憶、知識、共同体

 

11takei01 人類は、自然・人為双方の災厄による秩序の喪失と再生を連綿と繰り返してきました。絶え間なく続く災厄のなか、人類はいかにして秩序を保ち、また、いかにして秩序を取り戻してきたのでしょうか。秩序に対して人々の記憶と知識が果した役割について、民俗学、文化人類学、考古学、東洋史、西洋史、日本史と多岐にわたる研究者が協力し、各々の研究方法から考察を進めているのが、リサーチユニット「人類史上の秩序における記憶と知識」です。

 

受け継がれる行動の記憶から人類史を紡ぐ

図1:那覇市の孔子廟の「遷座式」調査風景。戦災による壊滅後の移転先から元の住所へ(2013 年)

図1:那覇市の孔子廟の「遷座式」調査風景。戦災による壊滅後の移転先から元の住所へ(2013 年)

 私たちは、秩序・知識・記憶の研究に当たって、歴史上の災厄をいくつもの視点から捉えています。たとえば、人為的な災厄である戦争について、沖縄の戦争記憶と戦後(図1)、中国台湾における近代国家の建設、イギリス帝国における世界大戦の戦没者追悼などを個別の出来事として切り離さずに、複眼的に捉えなおしています。沖縄本島では祖先祭祀において元祖との系譜関係が重要ですが、地上戦で戦前の文字記録(系図・家譜など)の多くが焼失してしまいました。しかし、戦後も生き残った人たちが墓・位牌への祭祀を続けたことで祖先以来の人間関係は今日までつながっています。このように歴史が今日まで連続し関連していることに気付くことが大切です。

 

 

 

歴史の記憶を現在の実践へ

 また、平時の苦難の記憶化にも視野を広げ、19世紀前半の中国における経済的な構造変化と秩序、環東シナ海(日本・韓国)の資源・観光開発や国家と交渉する民俗世界、北海道・カナダ西部の開拓といった、文化圏の境界における秩序の動態についても研究を進めています。破壊と創造、および長期的な記憶の伝承についての議論を俎上に載せ、構成員が各自の研究分野からアプローチすることで、広く人類史的な知識体系から現代社会に対する提起を目指しています。また、研究から明らかになった繋がりを現在の人々に返す、「歴史の実践」にも力を入れていきたいと考えています。

図2:公開講座『変革期の社会と人間―「破壊」と「再生」の歴史・人類学―」の開催風景

図2:公開講座『変革期の社会と人間―「破壊」と「再生」の歴史・人類学―」の開催風景

 

社会への貢献・実績

● 平成25年度筑波大学大学院人文社会科学研究科公開講座(図2)
 『 変革期の社会と人間 ―「破壊」 と「再生」の歴史・人類学― 』
 ( 2014年1月11日・2月8日・22日 場所:筑波大学東京キャンパス文教校舎)