リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

ローカル・ガバナンスから ウェルビーイングの実現を目指す!
国際比較日本研究リサーチユニット

森 裕城 坪郷 實 大西 裕 小嶋 華津子 坂本 治也 山本 英弘 濱本 真輔 久保 慶明 木島 譲次 柳 至 Willy Jou

キーワード: 市民社会、政策過程、政策ネットワーク、圧力団体、地方政府

http://cajs.tsukuba.ac.jp/

 

 

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辻中 豊教授

   日本における政権変動、政策パラダイムの変化といった一連の政治変動は、政策過程や市民社会にどのような影響を与えたのでしょうか。歴史を振り返るとき、私たちは起きてしまった政治変動を因果関係で埋めようとしてしまいがちですが、実際は、圧力団体、政策ネットワーク、地方政府・市民社会など、拮抗したさまざまな勢力が活動した結果として生じています。体系的な調査と比較をつうじ、世界各国の政治の構造変動と政治・社会関係の変容の解明に挑戦しているのが、「国際比較日本研究」リサーチユニットです。

 

 

 

 

世界中が直面している大きな問題の解決にはコミュニティーレベルでの改革が不可欠

 私たちは、市民社会、政策過程、政策ネットワークの国際比較研究を継続して行っています(図1)。これらの研究から、地方政府と呼ばれる組織の実態は、「地方」ではなく、社会「基盤」だ、という実感を持っています。この基盤組織の存在は、現在だけでなく日本の未来にとっても、また、世界にとっても非常に重要です。たとえば、テロ、環境、人々の福祉、高齢化社会など、世界が直面しているこれらの課題を解決する鍵は、市民にあります。このような問題は政権トップや科学者がなにかするだけでは解決できませんし、一方で、市民がバラバラに活動していても難しい。「みんなが一緒に活動する」というコミュニティーレベルでの意識改革と非常に連動していることがわかってきました。

図1:国際比較日本研究の関連調査図

図1:国際比較日本研究の関連調査図

 

日本のソーシャル・キャピタルを世界の資産に

 現在、調査対象としている国は15 ヶ国あります(図2)。そのなかで、中国、バングラデシュ、タイでは、日本と同様に、地方政府の自治に市民社会や地元コミュニティーなどの組織、中央・地方の関係が重要なことがわかってきました。また、国際比較をして初めて見えてきた日本の社会全体像もあります。たとえば、選挙や自治会・町内会・子供会・回覧板など、西洋にはないこれらの仕組みが、日本の社会資産、いわば日本のソーシャル・キャピタルだということもわかってきました。日本の市民社会は日本独自の文化・歴史と、外側の文化や社会、科学が融合し形成されてきたものです。国際比較研究することで、各国のローカル・ガバナンスと、ウェルビーイングに貢献できるような人文社会科学的な基礎を提供していきたいと考えています。

図2:15 国調査の対象国とバングラデシュでの調査風景

図2:15 国調査の対象国とバングラデシュでの調査風景

 

社会への貢献・実績

● 辻中豊・李景鵬・小嶋華津子編(2014)『現代中国の市民社会・利益団体』木鐸社
● Tsujinaka, Yutaka and Willy Jou, eds. (2015) Civil Society Organizations in   
  Comparative Perspective (CAJS Monograph Series No. 7)( 2014年度)
● CAJS「市民社会ガバナンスの会」:6 月13 日 辻中豊(筑波大学法人文社会系教授)
 「 比較の中の中国」他10件(2014年度)
● JIGS セミナー(英語):Yutaka Tsujinaka (Professor, Faculty of Humannities and
  social Sciences), ”Politics and Civil Society in Japan”他7 件(2014 年度)
● 辻中豊(2015)「市民社会の国際比較からみる台湾・日本・中国の将来」
  臺灣各大學2015 日本研究聯合論壇、2015 年3 月21 日、台湾。