リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

人文知を結集して祈りの文化史から 「日本」を読み解く
新研究領域創出型日本研究リサーチユニット

代表者:近本 謙介    中核研究者:沼田 善子  谷口 孝介  
他のメンバー:小野 正樹  平石 典子  本井 牧子  藤川 昌樹  

阿部 泰郎 上島 享 藤岡 穣 荒見 泰史 松尾 恒一 海野 圭介 高橋 悠介 苫米地 誠一 川崎 剛志 内田 澪子 阿部 龍一 ルチア・ドルチェ 李 銘敬 ブライアン・ルパート アラリ・アリク 馬 耀

キーワード: 日本研究、祈り、宗教文芸、法会、比較研究

 

09chikamoto01「日本を研究する」とはどういうことでしょう。これに挑む多様な専門の研究者の力を合わせて、「時間」「空間」「対象」等さまざまな角度から「日本」をとらえようとしています。普段の学会では重なり合わないそれぞれの専門分野に、接点となりうる共通の話題を投げ込んだら、どんな化学反応が起きるのか?そこから得られるあらたな研究成果を求めるリサーチユニットが、この「新研究領域創出型日本研究」なのです。

 

祈りの文化史は時空を超える

 現在、リサーチユニットの中核に据えているテーマは「祈りの文化史」です。現代の日本の祈りの歴史は、前近代からの国内での文化の熟成のほか、仏教伝来以来の海外との交流の繰り返しによって成り立っています。その意味を理解する上では、日本に渡来した文化の源流の探求や比較研究の視点が自ずと必要になってきます。このような問題意識に基づき、昨年は、玄奘三蔵をインドから日本までの視野でとらえ直す学際的・国際的なフォーラムを行いました。(図1)
 たとえば、祈りの文化史を考えるために、「法会」という場を考えてみましょう。法会の行われる寺院空間は、仏像・曼荼羅・音楽・芸能に彩られ、僧侶の発することばがその空間を荘厳していく、まさにそれらの交響の場なのです。こうした研究対象に挑む際には、人文学諸領域の知はもちろんのこと、寺院建築など理系の学問の知をも結集して取り組む必要が生じます。
 このリサーチユニットが目指すのは、そうしたスリリングな知の交流による、日本理解の核心に迫るあらたな研究の創出です。

 

知の激突による領域横断的研究

 学際的な領域の共同研究を、専門分野を異にする研究者が集まってすすめる場合、ともすれば、おのおのの研究の表層的な部分の議論にとどまる傾向があります。
 本リサーチユニットでの議論は、自分の専門を解体したり譲歩したりするのではなく、むしろ、それぞれの専門性をもとに分析を深めることを意識しています。これにより、既成の学会の枠組みを超えるようなあたらしい成果がうまれることを目指しつつ共同研究を進めています。議論の場では、意外な発見に驚いたり、思わぬ展開に冷や汗が出たりすることもしばしばですが、それぞれの培ってきた深い専門領域の知に裏打ちされているからこそ、真にエキサイティング
な学究の場となっていると自負しています。

 

社会への貢献・実績

●ハーバード大学、ロンドン大学SOAS、イリノイ大学、ヘルシンキ大学、タリン大学、台湾国立政治大学、リュブリャーナ大学、タシケント国立東洋学大学等にて、国際フォーラムを開催
●筑波大学東京キャンパスにて、第5 回東アジア宗教文献国際研究集会「玄奘フォーラム」を、国内外の研究者を招いて開催(図1)
●根津美術館にて説話文学会シンポジウム「 女院と尼僧の信仰の軌跡―根津美術館蔵「 春日若宮大般若経」をめぐって―」を開催(図2)

図1:「玄奘フォーラム」における阿部龍一ハーバード大学 教授による基調講演

図1:「玄奘フォーラム」における阿部龍一ハーバード大学 教授による基調講演

 

図2:経典書写をテーマとした説話文学会のポスター

図2:経典書写をテーマとした説話文学会のポスター