リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

最適な意思決定を支援するオペレーションズ・リサーチを使う
都市のORリサーチユニット

代表者 : 大澤 義明    中核研究者 : 吉瀬 章子  鈴木 勉  
他のメンバー : 堤 盛人  有田 智一  
キーワード:都市計画、オペレーションズ・リサーチ、社会工学、地域科学、数理モデル

 

 様々な情報が容易に手に入る現代社会においては、何か問題が起こったときの解決策も多数存在します。できれば最適な解決策を選びたいところですが、いつもうまくいくとは限りません。意思決定をする際に必要な解決方法の選択基準について研究しているのがオペレーションズ・リサーチ(以下OR)です。ORは、例えば経済学、経営学、理学、工学、農学、医学、芸術などといった様々な分野を横断するまさに学際研究です。また筑波大学社会工学域では、ほとんどの教員がリサーチユニットに所属しています。これまでの都市のORなどの活動実績もあり、平成26年度の社会工学大学院改組以降は、ユニット単位で学生の指導に当たる予定です。

 

合意形成をモデル化

 オペレーションズ・リサーチは最適な意思決定を支援する研究だ、と言われていますが、私たちは、このなかでも合意形成に着目し、そのモデル化と結果の可視化に挑戦しています。交通インフラを例に説明しますと、老朽化したインフラのなかで整備「する」「しない」の選別をどのように決めるか、住民投票をすると半分以上の人にとっては最適な選択になりますが、社会全体では損をするかもしれません。つまり、民主主義の結果が必ずしも経済的に合理的とは限りません。 政治家の任期は4年なので、どうしてもハコモノ作りという短期的な政策、地域性を無視した全方位型の政策を打ち出しがちです。そういう環境で中長期的な視点で、選択と集中をどのように実行するのか。モデル化と可視化を通じて、意思決定が社会全体にて最適であり、住民が納得する、そのような結果を導く合意形成の仕組みを作ってみたいと考えています。(図1)

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従来の指導を超え、ユニット単位で学生を指導

 都市のORリサーチユニットはOR学会所属の研究者を中心に構成されています。学会には研究グループの制度があるので、それを活用して2000年から年2 回、筑波と名古屋で研究会をしています(写真1)。OR学会が年に2回開催されるので、一年に4回情報交換します。主な目的は若手育成です。多数の先生が能動的に共同指導する形で繋がっており、スピード感があります。昨年の竜巻被害のときも、必要な情報を建築研究所やつくば市から得ることができました(写真2)。

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社会への貢献・実績

● 震災復興事業(北茨城、高萩、鹿嶋、神栖、潮来、いわき)
● 民間企業との共同研究(株式会社鹿島アントラーズFC、郵便局株式会社など)
● 地方自治体での委員会活動(茨城県、土浦、つくば、石岡、水戸、常総、取手、牛久、守谷、板東など)