リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

水の無限の恩恵に預かるために
水文科学リサーチユニット

代表者:杉田 倫明    
他のメンバー:浅沼 順  辻村 真貴  山中 勤  河内 敦  

田林 雄

キーワード: 水文科学、水循環、水環境、陸域環境、地球環境

http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~hydro/

 

29sugita01 海には膨大な量の水がありますが、そのほとんどは水資源として利用できません。大気中の水が雨や雪として陸域に降り、それが海に流れ去ってしまうまで、あるいは蒸発して再び大気へと戻るまでの間の水だけが、人間の生命維持や農業生産・工業活動に利用できるのです。水の無限の恩恵に預かるためには水循環を正しく理解し、適正な利用を心がける必要があります。「水文科学」リサーチユニットでは、水循環プロセスの解明をつうじ、地域や地球規模の環境問題の解決とその基盤となる基礎科学の発展に挑戦しています。

 

過去・現在・未来、小スケールから地球規模まで、水環境のすべてを理解する

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図1:水の循環プロセス


 水は私たちの生命にとって無くてはならないものです。また、その存在と流れの過不足から生じる災害や飢饉などにより私たちに大きな影響を及ぼします。水文科学は、そうした様々な問題の根源や解決の糸口を見出すために、水の循環やその変質プロセスをまるごと理解しようとする学問です(図1)。このために、過去から現在の状況を把握し、そのモデル化を通して将来予測につなげます。たとえば、研究フィールドの1 つモンゴルでは、水の通過量(フラックス)と貯留量、滞留時間等の計測をもとに地域環境と水循環の現状を把握し、水文・生態系モデルを活用することで、過去から現在まで放牧がなぜ持続的に行われてきたのかを明らかにすると共に、将来の地球温暖化や放牧圧増加にともなう変化の予測を行うことも可能になってきています。

 

 

 

 

 

 

 

 

地域や地球規模の環境問題の解決の鍵を握る水循環

 地球温暖化、砂漠化、酸性雨といったグローバルな環境問題のみならず、身近な環境問題の解決にも、水循環が重要な鍵を握っています。たとえば、霞ヶ浦は水質の回復が進んでいません。周辺からの物質の流入は主に水が媒介になっているので、その流れを正確に把握することが大事です。さらに霞ヶ浦のような湖沼はCO2 ガスの吸収・放出を通して地球大気のCO2 濃度にも影響があることが分かってきています。この理解のため、水や二酸化炭素の輸送量を現地観測やモデル化を通して明らかにしてきました(図2)。このように本リサーチユニットでは、所属する研究者が協力し、1)水文過程の各プロセスのメカニズムの解明、2)水収支に基づく対象地域のフラックスと貯留量、滞留時間の解明、3)水文現象と環境との相互作用の解明を主な目的として、小スケールから地球規模までの水文過程と環境との相互作用の現状を把握、モデル化による過去の復元、将来の予測に挑戦しています。

図2: 霞ヶ浦からの水蒸気フラックスの 計算結果(左)とフィールドでの河川 流量調査風景(右)

図2: 霞ヶ浦からの水蒸気フラックスの計算結果(左)とフィールドでの河川流量調査風景(右)

 

社会への貢献・実績

● UNESCO-Chair によるモンゴルにおける地下水資源の持続可能な管理に関する
  科学協力事業
● つくば市:小中学校における環境教育カリキュラムの作成
● 文部科学省教育協力拠点形成事業「国際協力イニシアティブ」:水資源・環境・ 災害教育
協力モデルの最適化