リサーチユニット総覧(Research Unit Magazine)

宇宙初期の物質状態を世界連合チームで探る
クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)リサーチユニット

代表者:江角 晋一    中核研究者:三明 康郎  中條 達也  
他のメンバー:Oliver Busch  

稲葉 基

キーワード: クォーク・グルーオン・プラズマ、高エネルギー原子核衝突重イオン

 

04sigeno01 高エネルギーの重イオン衝突実験を行い高温・高密度の宇宙初期の状態を再現し、全ての物質の構成要素がバラバラに飛び交うクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)状態を国際共同チームで探求します。

 

 

 

 

 

地上で宇宙初期の超高温や中性子星内部の超高圧を再現

図1:CERN 研究所のALICE 検出器の前で共同実験研究者の集合写真

図1:CERN 研究所のALICE 検出器の前で共同実験研究者の集合写真

 膨張し冷え続ける宇宙(現在マイナス270℃)は、時を遡れば次第に高温となり宇宙初期は超高温です。その時モノはどんな様子でしょう? 全てのモノは水素や鉄など「原子」から出来ていると習ったのを覚えていますか。どの原子も幾つかの陽子と中性子が結合した原子核とその周りを回る電子から成ります。高温で原子核と電子がバラバラになった「プラズマ」は蛍光灯の内部や太陽内部の状態です。もっと高温では、原子核を構成する陽子・中性子もバラバラになります。実は陽子・中性子はクォークとそれを繋げるグルーオンという素粒子から成ります。そして、超高温でクォークとグルーオンがバラバラ飛び回るようになったスープがクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)です。密度が太陽の100 兆倍の中性子星の内部にもQGP ができています。米国のブルックヘブン国立研究所(BNL)と欧州のCERN にある巨大な装置で原子核を超高速で衝突させるとQGP 状態が地上で再現します。研究により、この不思議な状態QGPも水が蒸気に変わるような「相転移」の結果であることまでがわかってきました。

 

究極の国際的ビッグサイエンス

 米国と欧州の巨大装置を世界中の研究者が共同で使います。実験に必要な技術の種類も多数で、一つの研究グループが最大1−2千人にのぼります。米国・欧州・日本を結ぶTV 会議が四六時中行われます。インターネットの進歩で議論やデータ解析は世界どこででもできますが、新しい装置の取り付け、動作チェックのためには、プロの研究者だけでなく大学院生も数ヶ月間欧州や米国に滞在します。人類共通の科学的謎に挑む究極的文化活動です。

 

図2:原子核・原子核の衝突シミュレーションの様子   (UrQMD 計算より)

図3:BNL 研究所のRHIC 加速器とPHENIX 実験の検出器

 

社会への貢献・実績

● つくばグローバルサイエンスウイーク2014(国際会議)にて宇宙進化・物質起源セッション開催
● スーパーサイエンスハイスクール「茗渓学園高校」の生徒のCERN 訪問(H25・H26 夏)

Interviewed on January 14, 2015