注目の研究

細胞の生長に重要な細胞極性が維持される機構を超解像顕微鏡により可視化 ~一時的な極性の確立を繰り返すことが鍵~

代表者 : 竹下 典男  

2015/11/14

筑波大学 生命環境系 国際テニュアトラック助教 竹下典男(現在、カールスルーエ工科大学 応用微生物学科 グループリーダー兼任)らの研究グループは、超解像顕微鏡により、細胞の極性が維持される機構を可視化することに成功しました。

今回の研究は、従来の蛍光顕微鏡では可視化できなかった極性マーカーの挙動を、超解像顕微鏡により明らかにしたものです。明らかとなった主な点は、菌糸状の形態を持つ真菌をモデルに、超解像を含む蛍光顕微鏡によるイメージングを用いて極性マーカーの挙動を可視化し、エキソサイトーシス(膜小胞の形質膜への融合)や微小管との関わりを明らかにしたことです。

 

図 Transient polarity model (一時的極性モデル)

微小管が細胞先端の形質膜に到達し、極性マーカーが蓄積することで、極性部位が形成される。そこから、アクチンケーブルが形成され、小胞が極性部位に向かって輸送されることで極性生長が起こる。形質膜への膜の挿入により、極性マーカーが形質膜上で拡散するが、新たに微小管が到達することで、次の極性部位が形成される。細胞極性が、一時的な極性の確立を繰り返すことで維持される。