注目の研究

植物への形質転換効率を向上させるアグロバクテリムの改良

代表者 : 江面 浩  野中 聡子  

筑波大学 生命環境系 つくば機能植物イノベーション研究センターの江面浩教授、野中聡子助教らの研究グループは、理化学研究所 門田康弘研究員との共同研究により、新規のスーパーアグロバクテリウムver.4の分子育種に成功しました。

本研究では、ACCデアミナーゼとGABAトランスアミナーゼ活性をアグロバクテリウムへ同時に付与することに成功しました。その結果、従来のアグロバクテリウム菌株と比較してトマトへの形質転換効率を3倍上昇させることに成功しました。これにより、従来のアグロバクテリウム菌株を利用した形質転換と比較して、植物材料の量など、必要なリソースを7割以上削減することが可能になります。本研究で開発したスーパーアグロバクテリウムver.4の活用により、様々な植物種での形質転換の効率化が期待されます。

図1 本研究における形質転換の過程
アグロバクテリウムを介した形質転換は、遺伝子導入、導入細胞の選抜、再分化の3ステップから成ります。 エチレンとGABAがアグロバクテリウムにより植物への遺伝子導入を阻害することが知られています。それぞれを抑制する酵素を同時にアグロバクテリウムへ付与し、一過的な遺伝子導入および安定的な形質転換効率の向上を図ります。エチレンの前駆物質は1アミノシクロプロパン1アミノアシッド(ACC)です。本研究では、このACCを分解する酵素ACCデアミナーゼをアグロバクテリウムへ付与しエチレンの発生を抑制します。また、GABA分解酵素GABAトランスアミナーゼをアグロバクテリウムへ付与しGABAを抑制します。