筑波大学OCW

【女性研究者が探るデータの未来】大学図書館が担う、分野を超えた知の可能性

「研究する」とは何か

日常的に研究活動をしていない人にとって、「勉強」と「研究」の違いはわかりにくいかもしれない。ある学問を「勉強する」とは、すでに多くの科学者達によって承認された科学的に間違いのない知識を学び、身につけることだ。一方で「研究する」とは、過去の知見に新たなものを加えること。つまり研究とは、人類の知識を広げていく活動と言えるだろう。では、研究活動とは具体的にどんなことが行われているのだろうか。

どの分野においても、新しい知を切り拓く(研究する)ために、まず手がかりとなるのは「先行研究」だ。自分の研究対象について、過去にどんな蓄積があったのかを知らなければならない。先人達の積み上げた叡智を紐解き、その上に今までにない切り口や発見を付け加えることは、しばしば「巨人の肩の上に立つ 」と表現される。こうして得られた知見は学術雑誌に「論文」の形で掲載される
論文は学術雑誌に掲載される際に「ピアレビュー(査読)」という評価を受ける。査読とは、同じ分野に精通した研究者同士で論文をチェックし、その研究の新規性・有効性・信頼性・妥当性などを判断することだ。さらに、論文の価値は他の研究者からの「引用」によって裏付けられる。研究とは新しい知を積み上げる事だ。したがって自分の研究内容が、その分野の中でどこに位置づけられるのかを明確にしなければならない。そのためには先行研究を引用し、それに対して自分はどのような点で新しいことを解明したのかを記す必要があるのだ。より多く引用された論文は影響度が高いと考えられており、掲載論文の被引用回数などから学術雑誌の影響度をはかる「インパクトファクター(IF)」や「Google Scholar Metrics(GSM)」といった指標が考案されている。所属している研究者の論文の引用頻度は、大学ランキングの指標として使われることもある。