ハロー先端科学(大学新聞)

LEDで植物の成長促進 効率良い栽培技術確立へ

今年10月、日本人の3研究者が青色発光ダイオード(LED)の発明でノーベル物理学賞を受賞した。LEDは消費電力の少ない照明やブルーレイディスクに利用され、我々の生活を支えている。その一つが農学分野だ。LEDを用いて光の当て方による植物の育ち方の変化を研究する福田直也准教授(生環系)に聞いた。
 福田准教授によると、
研究にLED照明を用いる理由は▽植物が光合成に必要とする特定の波長の光を照射できる▽熱放射が少なく植物にダメージを与えない▽長寿命……など、植物栽培に適した特徴を備えているか
らだ。
福田准教授によると、人間は目で光の色を識別できるが、植物も光の色を見分けることができ、周囲の環境を知る手がかりにしている。同准教授はシュンギクやレタスに昼間は日光を、夜間はL
EDを当てて育てる実験を実施。成長が大幅に促進されたほか、青い光を当てると背丈が上向きに高くなり、逆に赤い光を当てると横に広がりやす形態が変化することがわかった。
 この性質を利用することで、見栄えの良いシュンギクやレタスなどの葉菜類を効率的に栽培できるようになる可能性があるという。また、夜間に当てる光の光強度が強ければ強いほど成長速度が速くなることが判明した。さらに同准教授らは長時間光を当てることで成人病の予防に効果的なポリフェノールの量が多くなることを発見。現在光の色がポリフェノール量に与える影響を調べている。
 実験結果を踏まえ、同准教授はより短期間で栄養価の高い農作物を栽培する方法を模索している。しかし、実用化にはまだ課題もある。光の当て方を工夫することで成長速度を速くしすぎると、植物が必要とするカルシウムなどの栄養素を地中から吸い上げるのが間に合わず、葉の先が枯れてしまうことがある。同准教授は、植物に人工風を当てることで蒸散速度を上げ、栄養素を根から地上部の末端まで吸い上げやすくさせるなど解決策を検討中だ。
 「これから3~4年の間に課題を改善し、国外でも利用されるような栽培技術にしたい」と同准教授は話す。環境の変化に伴う耕作地の減少や、人口増加による食糧問題を抱える人類。新しい栽
培技術が、LEDのように我々の将来を明るく照らす光となるのか、注目したい。(添島香苗=生物学類2年、写真も)