注目の研究

血球をつくるしくみを解明 ~ヘマンジオブラストではたらくエピジェネティクス制御~

2015/10/29

筑波大学 医学医療系 小林麻己人講師らの研究グループは、これまで謎の多かった、血球細胞がヘマンジオブラストからつくられるしくみを明らかにしました。ヘマンジオブラストは、胎児期に存在する血球と血管内皮の共通前駆細胞ですが、最近、成体での存在も見つかり、医学的にも注目され始めています。

今回、本研究グループは、ヘマンジオブラストからの血球分化に障害がある突然変異ゼブラフィッシュを単離し、その責任遺伝子がヒストン脱メチル化酵素LSD1であることを特定しました。さらに、LSD1の作用点がヘマンジオブラスト形成に必須の転写因子遺伝子Etv2の発現抑制であることを、遺伝子ノックダウンによる表現型回復実験によって明らかにしました。この結果、血球分化の運命決定には、LSD1によるEtv2のエピジェネティックな発現抑制が重要であることが分かりました。

これは、造血幹細胞や血管内皮細胞を作るエピジェネティクス制御であり、本研究成果の発展により、今後、医学的な応用も期待されます。

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図 本研究が提案するヘマンジオブラストからの血球分化モデル

Etv2はヘマンジオブラストをつくるのに必要な遺伝子であるが、血球細胞に分化するためには発現抑制される必要がある。LSD1は、Etv2遺伝子座位の結合するヒストンを脱メチル化することにより、Etv2をエピジェネティックに発現抑制し、血球分化の進行を進める。

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