注目の研究

受粉をしていないめしべが果実にならない理由~果実の形成を抑制する新たなメカニズムを発見~

2015/06/12

筑波大学生命環境系の有泉亨助教、篠崎良仁研究員、江面浩教授らの研究グループは、理化学研究所環境資源科学研究センター、ボイス・トンプソン研究所、コーネル大学、香港中文大学との共同研究により、トマトの果実形成を制御する新たなメカニズムの発見に成功しました。

トマトを含む多くの果実の形成は、受粉をきっかけとして生成される植物ホルモン(オーキシンやジベレリンなど)によって促進されることが知られています。一方、ガス状の植物ホルモンの一種であるエチレンは、多くの果実の成熟に関与することが知られていますが、果実形成への直接の関与はこれまで明らかにされていませんでした。

本研究は、筑波大学遺伝子実験センターが有するトマト品種マイクロトムの大規模変異体集団の中から発見された、エチレン低感受性変異体Sletr1を利用し、受粉していないめしべからの果実形成をエチレンが抑制していることを明らかにしました。受粉前のめしべで多量に生成されているエチレンは、果実形成を促すジベレリンの生合成を抑える役割を担うと考えられました.このメカニズムを制御することで、果実の生産性を向上させる新たな技術の開発が期待されます。

 

図 植物ホルモンが関わる果実形成メカニズム

これまでの研究で、受粉によってめしべで生成されるオーキシンとジベレリンが、それぞれ細胞分裂と細胞肥大を促進することで果実形成を促すと考えられている。本研究により、これまで明らかになっていた果実形成の促進メカニズム(黒線)に対して、エチレンが抑制的に働くことが明らかになった(赤線)。