注目の研究

地震時の高周波放出と大きな断層すべりとの関係に関する新知見

代表者 : 八木 勇治  奥脇 亮  

2014/11/19 

筑波大学生命環境系の八木勇治准教授と大学院生の奥脇亮、システム情報系の平野史朗研究員は、2010年にチリで発生した巨大地震を八木准教授らのグループが開発改良した最新の解析手法を用いて解析し、地震波の高周波放出現象が、地震時の大きなすべりを誘発し、さらに大きなすべり同士を繋げる役割を果たした可能性があることを明らかにしました。

地震波の高周波成分(約1 Hz)の励起現象は、破壊が伝播する速度やすべりの速度の急激な変化を反映することがわかっており、地震発生のメカニズムを深く理解する上で重要な情報です。そこで本研究では、2010年に発生したチリ地震(マグニチュード8.8)に対して、高周波放出源の時空間分布を高精度にイメージングする最新の手法を適用し、高周波放出源の時空間分布等を推定しました。その結果から、強い高周波の励起現象が大きなアスペリティ破壊の引き金となると同時に、弱い高周波を励起するような破壊が複数の大きなアスペリティ破壊を橋渡しすることが示唆されました。これは、地震の発生メカニズムを理解する上できわめて重要な新知見です。

 

 

図:(a)解析には、沈み込むプレート表面の形状を考慮した非平面断層を仮定した。星印は震央を示す。(b)結果のスナップショット。暖色系になればなるほど、比較的強い高周波の放出を示す。白い等高線は、震源インバージョン法によってもとめられた断層すべり。