注目の研究

線虫から脊椎動物まで共通して保存されている発生メカニズム ~進化的に広く保存された感覚神経細胞が作られる仕組みの解明~

代表者 : 堀江 健生  

国立大学法人筑波大学 生命環境系 堀江健生 国際テニュアトラック助教らの研究グループは、米国プリンストン大学、中国精華大学、浙江大学との共同研究により、進化的に広く保存された感覚神経細胞が作られる仕組みを解明しました。

脊椎動物では、感覚神経細胞は神経板と表皮の境界領域(神経板境界領域)から生じる神経堤細胞およびプラコードから作られます。最近になって、脊椎動物に最も近縁な海産無脊椎動物であるホヤにおいて、神経堤細胞の起源的な性質を備えた細胞が存在することや、そこから感覚神経細胞が作りだされる仕組みは報告されていましたが、ホヤ以外の無脊椎動物においては明らかになっていませんでした。

本研究では、線虫、ショウジョウバエ、ホヤ、アフリカツメガエルを用いて、特に側方の神経板境界領域の特異化や形成に重要な役割をする Msx/Vab-15 遺伝子の発現領域の解析と機能解析を行いました。その結果、実験を行った全ての動物においてMsx/Vab-15 遺伝子が、感覚神経細胞の分化に必要不可欠な役割をしており、線虫から脊椎動物まで共通のメカニズムを用いて感覚神経細胞を作りだしていることを明らかにしました。