筑波大学OCW

【女性研究者が探るデータの未来】データに秘められたメッセージを受け取るための

表現するメディアとしての“音”の可能性を追究する

一般的に人間の視野角度は左右で120度、上下で130度程度と言われている。一方、聴覚は360度どこでも感知する事ができる。特に聴覚は音の時間変化の理解に優れており、音程や音量の変化を鋭敏に感じ取るため、たとえば声色の変化で相手の感情を読み取ったり、足音で男女の違いを聴き分けたり、見失った携帯電話の位置を着信音を頼りに把握するといったことができるのだ。

可聴化研究とは、もともと音では無いものを音に変換し、それを聴いて事象を理解するという分野だ。心電図や金属探知機、ガイガーカウンターなどが身近な可聴化の例と言えるだろう。心臓の状態、金属の場所、放射線の量などを表現する場合、画像で示したりグラフを用いたりする事も可能だ。

だがもっと豊かに情報を表現する事はできないだろうか。可聴化とは、事象を音に変換する事で人間が事象そのものをよりダイレクトに知覚し、わずかな変化を鮮明に伝達する表現を追究する試みであると言える。

寺澤  「表現するメディアとしての音の可能性はもっと拡大していくと信じています。音楽は、たくさんの音を組織化して使う事で色々なメッセージを伝える事ができますよね。そのように、音をうまく使って多くの情報を表情豊かに伝える事ができると思います。」

寺澤先生は「可聴化すること」のみを研究しているのではない。「表現の可能性を広げる」ためにメディアとしての“音”を利用しているのだ。ただ音に変換するだけではなく、言語や視覚よりも豊かな、しかしまだ世界に確立されていない新たな表現のパターンを生み出すことが寺澤先生の研究である。