ハロー先端科学(大学新聞)

芝生や雪上の歩行を再現現代人の運動不足を楽しく解消

普段私たちは通勤通学などで舗装された道を歩くが、それは大部分が単調な運動に終始する。だが舗装道路を歩いていても、芝生などの上を歩く感覚を味わうことができれば、通勤通学も楽しくなる。またこれで歩くことが好きになれば、運動不足も解消できるだろう。こんな発想から、橋本悠希助教(シス情系)はユニークな装置の研究を行っている。
 これまで、装置を指の爪の上に乗せ振動を与えることで、それが指の腹部に伝わるという技術が開発されていたが、橋本助教はこれを足に応用。
足の甲にわずかな振動を与えることで、固い地面を歩いているにも関わらず、まるで本当に雪や芝生の上を歩くかのように感じ取られる装置の開発
を目指した。これに加え、装置の小型化・軽量化も図った。この結果、約30㌘で大きさはスリッパに乗る程度の装置の開発に成功。一定以上の重さが
あると不可能だったものを、足の爪に直接取り付けるような装置を生み出した。
 このユニークな研究の背景には橋本助教自身が運動不足を感じ始めていることがあった。新たにスポーツを始めるのが億劫なのは人の常。だが、単調な「歩く」という運動でも、砂漠や芝生、そして雪や雲の上など、非日常的な感覚を味わえれば、歩く距離が少しでも伸びるのではないかと考えた。この着想は、コロンブスの卵だった。
 すでに、実用化の計画も進んでいる。つくば駅周辺でこの装置を使い面白い試みが行われる予定だ。現在の地図と古地図のデータを組み合わせ、現在は舗装された道路でも、古地図が作られた当時の地面の様子を足の裏で「知る」催しだ。他にも、触覚アイコンの計画も進んでいる。視覚障がいのある人が街中で歩いている際に、トイレなどのある場所を、足底に特定の刺激を感じることで知覚できるというものである。
 今後は装置をさらに小型化・軽量化し、靴下のような手頃さで日常的に身につけられるような装置にし、製品化を目指していくという。橋本助教は「人の日々の歩くという運動を、手軽にもっと楽しめるものにしたい」と話す。
 2013年の笹川スポーツ財団(本部・東京都港区)の調べによると、日本人に最も親しまれている運動は、散歩などの「歩く」運動。日本人が
運動不足を楽しく解消できる日も近い。(柏このか=比較文化学類1年)